『複雑性PTSDの理解と回復ー子ども時代のトラウマを癒すコンパッションとセルフケア』

近年、子ども時代のトラウマが及ぼす影響についての理解が深まっています。その中でも特に、複雑性PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder)は、長期間にわたる慢性的なトラウマ体験によって引き起こされる精神的な障害であり、その治療や回復には専門的なアプローチが重要となります。

『複雑性PTSDの理解と回復ー子ども時代のトラウマを癒すコンパッションとセルフケア』は、この重要な問題に焦点を当てています。著者は、長年の臨床経験と研究に基づき、複雑性PTSDの理解と治療についての貴重な知見を提供しています。

本書では、読者は複雑性PTSDがどのように発生し、どのような影響を与えるのかについて説明されています。またトラウマ症状から回復するための具体的なアプローチやセルフケアの方法についても詳しく解説されています。

人間の脳が完全に形成されるまでには約20年かかり、子どもがおとなになり、複雑な状況を乗り越えるための社会性と情緒的な知性を身につけるためには、何年もの時間をかけて丁寧に育んでいかなければなりません。人生が始まったばかりの小児期は、大切な人との葛藤や喪失への対処といった人生の避けられない課題に備えるための準備期間なのです。それなのに、その時期にトラウマをかかえて成長すると、ネグレクトや虐待によって生じた溝を埋めなければならず、それに時間をとられてしまいます。小児期トラウマから人生を取り戻すには、自分自身に向き合う癒しのプロセスに時間をかけて取り組んでいく必要があると覚えておきましょう。

はじめにより

『複雑性PTSDの理解と回復ー子ども時代のトラウマを癒すコンパッションとセルフケア』アリエル・シュワルツ(著)、野坂 祐子(翻訳)

出版社HPより

https://www.kongoshuppan.co.jp/book/b602556.html

この本の内容

複雑性PTSD(C-PTSD)は、小児期に親や養育者などからの虐待やネグレクト、DVなどのトラウマティックなできごとに繰り返し長期にわたってさらされることによって起こります。子ども時代に身体と心に深刻な影響を受けるとおとなになっても他者への不信感や不安定な体調や情緒に苛まれ、自分自身を責めたり傷つけたりすることがあります。

本書では、ソマティック・アプローチとマインドフルネスを基盤としたトラウマ臨床で成果を上げている著者が、複雑性PTSDの症状やメカニズムをわかりやすく説明したうえで、自分にコンパッション(思いやり)を向けることに焦点をあてて、身体と心を癒していくセルフケアのスキルを紹介しています。

よくみられる症状や感情調節、対人関係の問題などへの対処法、また、複雑性PTSDをかかえる人の体験談を自分のペースで読み進め実践していくことで、子ども時代のトラウマから自分の人生を取り戻すための道を歩むことができるでしょう。

目次

第1章 複雑性PTSDの理解
第2章 回避症状からの回復
第3章 侵襲的・侵入的な症状からの回復
第4章 抑うつ症状からの回復
第5章 情動調整不全のマネジメント
第6章 解離症状からの回復
第7章 健康的な対人関係を築く
第8章 自己認識の問題からの回復
第9章 虐待者への過剰な同一化からの回復
第10章 絶望と失望の感情の克服
第11章 その勢いのままで

「はじめに」より

本書では、C-PTSDとは何か、どんな症状があるのか、何がきっかけで症状引き起こされるのかをみながら、C-PTSDについて理解を深めていきます。各章では、回避型、侵襲型、抑うつ型など、よくあるタイプの症状を取り上げます。感情調整の課題や対人関係の問題に取り組むうえで重要なスキルを紹介します。また、C-PTSDが意識を乗っ取るような状態から自己価値の感覚を損なうことまで、日常生活に支障をきたすような一般的な影響についても理解していきます。どの章でも、トラウマに対処し、自分の人生を取り戻すために使える実用的な方法や技法と、さまざまな人のストーリーを紹介しています。

本書の特徴

第1章で複雑性PTSD(C-PTSD)の説明がされています。その中でアタッチメント理論、情緒面や身体面に表われる症状を紹介しています。C-PTSDの症状として以下があげられます。

  • 回避症状
  • 侵襲的・侵入的な症状
  • 抑うつ症状
  • 情動調整の困難さ
  • 解離症状
  • 対人関係上の問題
  • 自己認識の問題
  • 虐待者に対する歪んだ考えと感情
  • どうしようもない絶望と失望

第2章からはこれらのC-PTSDの症状に対して「理解する」→「セルフケア」→「セルフチェック」という構成が続きます。第7章「健康的な対人関係を築く」では癒しの方法として<おとなである自分をよりどころにしよう>としています。

自分の手を見てください。おとなの手だとわかるでしょう。

立ち上がってドア枠の上に手を伸ばし。自分の身長を感じてみましょう。自分の身体はおとなの大きさであるのがわかるでしょう。

時計とカレンダーを見てみましょう。自分の意識を今ここに向けるために、現在の時刻と日付に注目しましょう。

子どもの頃にはできなかったけれど、今の生活ではできることを2つ、3つ挙げてみましょう。

自分に「わたしはもうおとなで、今は安全だ。わたしは自分で選択肢、行動することができる」と言い聞かせましょう。

第7章 健康的な人間関係を築く

また第9章「虐待者への過剰な同一視からの回復」では癒しの方法として<自分にとっての真実を語ろう>、<責任をリセットしよう>、<境界線を主張しよう>が紹介されています。ここでは、<責任をリセットしよう>を紹介します。

子どもの頃に経験した虐待を自分の責任だと思ったり、恥を感じたりしたことがありますか。おそらく、自分を責めているのは、自分がはっきり拒否しなかった、だれにも言わなかった、虐待が続くのを許してしまった、相手の好意に自分の身体が性的に反応したといった理由からではないでしょうか?

虐待を受けているときでも、身体というのは触れられれば生物学的に反応するようにできていることを理解してください。性的虐待のサバイバーの多くがこのことで情緒的に混乱してしまいます。性的興奮のような身体反応があっても、それは同意したことにはならず、相手の性的な接触を誘ったわけでもありません。

当時の自分はまだ子どもであり、どの子どもも親に依存しているものだと思い出しましょう。

子どもが着帯の責任を負う必要はない理由について、じっくり考えてみましょう。子どもは無力だった、殺されるかもしれないおそれていた、言われた通りにすることでイイコでいようとしたなどの理由があるでしょう。

何回か呼吸をして、子どもの頃に経験したつらく困難なできごとについて、自分自身にコンパッションを向けてみましょう。この練習をするなかで生じた悲嘆や喪失の気持ちを感じましょう。

第9章 虐待者への過剰な同一化からの回復

著者は本書のなかで、一貫して回復のプロセスは短期間ではなく長期間にわたるものだと伝えてくれています。そしてももっとも重要なことは日頃から癒しの方法を取り入れて自分の回復力を高めていくことだとしています。

カウンセリングルームティーポットでは、ご相談者様の精神的な健康と回復をサポートしています。複雑性PTSDやその他の精神的な問題に悩む方々に対して、専門的なカウンセリングを提供することで、より健康的に過ごせるよう一緒に考えて参ります。

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